賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担する?修繕費用の相場も解説

賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担する?修繕費用の相場も解説

畳は使用していると劣化するため、賃貸物件に住んでいる期間中に交換時期が来るときがあります。
また、食べ物をこぼすなど入居者の過失で汚れてしまうこともありますが、交換・修繕はどうするかご存じでしょうか。
そこで今回は、賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担するのか、また修繕費用の相場についても解説します。
賃貸物件の畳交換を検討されている方は、ぜひ今後の参考になさってください。

賃貸物件の畳の修繕方法とは

賃貸物件の畳の修繕方法とは

畳の修繕方法には、主に「表替え」「裏返し」「畳替え」の3つの方法があります。
それぞれの修繕方法を見ていきましょう。

表替え

表替えとは、畳の表面のみを交換することを指します。
畳の構造は、本体である畳床に畳表と呼ばれるカバーが取り付けられた形になっています。
畳床にへこみや歪みがなく、畳表の汚れや傷を修繕したい場合は、表替えで対応するのが一般的です。

裏返し

裏返しとは、畳表のゴザ部分を剥がして裏返し、再び貼り付ける方法です。
ゴザ部分は両面使用できるため、表面の傷や汚れが軽微な場合は裏返しをおこなうことで見た目がきれいになります。
ただし、汚れや傷が内側まで浸透している場合は、裏返しの方法は適用できません。

畳替え

畳替えとは、畳床も含めたすべての部分を新しく交換することを指します。
畳替えが必要になる状況は、それほど多くありません。
重い家具を引きずったり、刃物で畳を切ったりして畳床まで傷が付いた場合には、畳替えをおこなう必要があります。
日頃適切に使用すれば、賃貸物件の畳の修繕・交換を最小限に抑えることができます。
畳を掃除するときには、とくに注意が必要です。
畳には繊維の向きがあり、向きに逆らって拭き掃除をしたり掃除機をかけたりすると畳が傷みやすくなります。
また、畳は湿気に弱いため、拭き掃除をする際は濡れ雑巾を固く絞り、畳に水滴が染み込まないよう注意しましょう。
一方で、掃除を怠ると畳にゴミが溜まり、ダニが繁殖しやすくなります。
畳を長持ちさせるためには、定期的な掃除が欠かせません。
畳の傷を防止するために、上にマットを敷くのも効果的です。
マットを敷くことで、防音や断熱の効果も得られます。
ただし、畳の上にマットを長期間敷いたままにしていると通気性が悪くなり、カビが生えやすくなります。
マットを敷く際は、定期的にマットを取り外して湿気を放出するようにしましょう。

賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担するのか

賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担するのか

賃貸物件の畳の交換費用を入居者が負担するかどうかは、畳の交換が原状回復にあたるかによって異なります。
ここでは、大家さんと入居者それぞれが賃貸物件の畳の交換費用を負担するケースについて解説します。

大家さんが賃貸物件の畳の交換費用を負担するケース

国土交通省が定めるガイドラインや民法によれば、賃貸物件の畳の原状回復費用は基本的に大家が負担します。
入居者が退去する際の畳の交換は、大家がおこなうのが一般的です。
畳を含めた賃貸物件内の設備は、経年劣化や自然損耗が生じます。
畳の経年劣化としては、日焼けによる変色などが挙げられます。
自然損耗では、家具を置いていた箇所にへこみができたり、畳の目に広がりやささくれができたりすることがあるでしょう。
これらは常識の範囲で生活していても自然に起こる劣化のため、入居者は原状回復の義務を負いません。
原状回復のための交換・修繕費用は、毎月の家賃に含まれていることが多く、退去時に改めて支払う必要はありません。
契約書に畳についての記載がなければ、基本的には大家が負担するものと考えて良いでしょう。

入居者が賃貸物件の畳の交換費用を負担するケース

原状回復以外の状況で畳の交換・修繕が必要な場合、入居者が費用を負担するケースもあります。
国土交通省のガイドラインによると、故意や過失、善管注意義務違反で設備に損耗や毀損が生じるときは、入居者が修繕費用を負担するとしています。
故意や過失とは、意図的にまたは注意不足で畳を傷つけたり汚したりすることです。
たとえば、大きな家具を引きずって傷を付けたり、食べ物をこぼして汚したりすることが挙げられます。
軽微な汚れは掃除すれば対処できますが、掃除を怠って放置すると変色やカビの発生など、状況が悪化する可能性があります。
入居者として当然おこなうべき管理を怠ると、善管注意義務違反にあたり、修繕費用の負担を求められることがあるでしょう。
また、契約書に特約の記載があり、入居者が畳の交換費用を負担するケースもあります。
たとえば、ペット可やファミリー向けの物件では、退去時の畳交換が前提の契約になっていることがあります。
特約がある場合、入居者の過失による傷や汚れの有無にかかわらず、退去時には交換費用を支払う必要があるでしょう。
ただし、ガイドラインには賃貸物件の設備について減価償却の基準が設けられています。
入居期間が長くなるほど、原状回復の負担費用は軽減されるのが一般的です。
原状回復の要求が不当だと感じる場合は、ガイドラインの基準を理解し、それをもとに大家と負担分について交渉することができるでしょう。

賃貸物件の畳交換費用の相場

賃貸物件の畳交換費用の相場

賃貸物件の畳交換費用は、汚れや傷の状態、契約状況によって異なります。
汚れや軽微な傷に関しては、畳1枚だけを交換することも多いです。
一方、大規模な汚れや傷、においが部屋中に染み込んでいるようなケースでは、畳全体の交換が求められるときもあります。
ここでは、畳の修繕方法に応じた費用相場をご紹介します。

表替えの費用相場

表替えの費用は、1畳あたり4,000~9,000円程度が相場です。
表替えは、4~8年以上使用しており、一度裏返しをしている畳に対しておこなうことが多いです。
表替えの価格は、使用するゴザのグレードによっても異なります。
畳表と畳縁の素材や織り方によって価格が変わり、高額なものでは2万5,000円に達することもあります。

裏返しの費用相場

裏返しの費用相場は、1畳あたり4,000~6,000円程度です。
新品から3年以内の畳であれば、大抵の汚れや傷は裏返しで対応できます。

畳替えの費用相場

畳替えの費用相場は、1畳あたり1万5,000円以上かかります。
さらに、この価格に加えて、業者の作業費や交通費、畳の処分費用などが含まれることがあります。
畳替えが必要になるのは、畳の踏み心地が悪くなったり、ダニが発生したりして畳全体を一新する必要がある場合です。
入居者が畳替えの費用を全額負担するケースは少ないですが、畳替えが生じないように使用方法や契約には注意が必要です。
畳の交換費用を負担する際は、事前に業者の見積もりを取り、相場を把握しておくことをおすすめします。
費用相場を知っておくと、大家が手配した業者の提示する価格が不当だった場合に業者を変更する交渉ができます。
なお、大家や管理会社を通して畳を交換するのが面倒だと考え、自分でおこないたいと考える方もいるかもしれませんが、それは避けたほうが無難です。
ほとんどの賃貸借契約書には、大家や管理会社の許可を取ることが前提になっているため、無断での行動は避けることをおすすめします。

まとめ

畳の修繕方法には、表替え・裏返し・畳替えの3種類があります。
賃貸物件において畳の原状回復は大家さんが負担するのが基本ですが、過失の有無や契約によっては入居者が負担するケースもあります。
入居者が畳の交換費用を負担するときは、事前に業者の見積もりを取り、相場を把握しておくことがおすすめです。