過去の災害から防災を学ぶ!マンションの防災対策と主な防災設備をご紹介

過去の災害から防災を学ぶ!マンションの防災対策と主な防災設備をご紹介

大地震はいつどこで発生するかわからないからこそ、住宅選びの段階から防災への備えを意識することが大切です。
地震に強い建物なのかなどを知っておくと、万が一の事態に向けた備えを少しでも万全なものにできるでしょう。
今回は、過去の事例を参考にマンションにおける防災意識の重要性と具体的な防災対策、マンションでみられる主な防災設備をご紹介します。

マンションの防災を学ぶには過去の災害を踏まえることが大切

マンションの防災を学ぶには過去の災害を踏まえることが大切

将来いつ発生するかわからない災害に備えるには、まず過去に発生した大災害を教訓にし、学ぶことが大切です。

マンションは大地震による倒壊に強い

過去に発生した大地震による被害を確認すると、マンションは倒壊リスクが少ないことがわかります。
たとえば2011年3月に発生した東日本大震災は、東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらした大災害ですが、地震の発生により大破したマンションは0棟でした。
また、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災は、およそ9割のマンションで被害ゼロもしくは被害が発生した棟でも軽微で済んでいます。
どちらも過去に発生した災害としては規模が大きいですが、マンション自体は頑丈であり、倒壊のリスクで考えればマンションは防災面で優れた建物といえるでしょう。
しかし、阪神・淡路大震災では大きな揺れによる家具の転倒が原因で、マンションで暮らしていた方のなかにも命を落とした方が多くいました。
マンションでの生活における防災のポイントとしては、大地震による倒壊の心配は少ない一方、家具の転倒を防ぐ対策を心がけることが重要といえます。

マンションはライフラインやエレベーターの停止リスクが高い

過去に発生した大地震の被害をみると、マンションはライフラインの停止リスクが大きいと考えられます。
マンション自体に倒壊の恐れがないとしても、水道やガス、電気が供給されないとトイレやお風呂が使えなくなるほか、テレビなどから情報を得られなくなります。
ライフラインの供給が止まると生活がままならなくなり、たとえ住む場所があったとしても避難生活を余儀なくされる可能性が高いです。
なお、ライフラインが停止した場合、復旧までにかかる日数は電気と通信が4日後、水道は3週間程度が目安とされています。
ガスは6週間後の復旧が想定されているため、ライフラインが復旧するまでの期間をどのようにしのぐか考えておくことが防災対策としては重要となるでしょう。
また、マンションの防災を考えるにあたり、災害時にエレベーターが停止するリスクも想定しておかなければなりません。
エレベーターが使用できなくなると移動手段は階段だけになり、4階以上の上層階に住む方は上下移動だけでも大きな負担を強いられます。
物資の運搬も容易ではなくなるため、ある程度の日数を自宅で過ごせるように備えておくことが防災対策のポイントです。

マンションで暮らす際の具体的な防災対策

マンションで暮らす際の具体的な防災対策

万が一の事態に備えて防災対策をおこなうには「家具の固定」と「備蓄」そして「防災グッズ」の3点を中心に進めると良いでしょう。

防災対策(1)家具の固定

過去の災害発生時、転倒した家具が原因でケガや死亡にいたるケースがあることから、自宅にある家具はすべて固定しておくと良いでしょう。
たとえば固定用の金具でタンスや食器棚など重量のある家具を壁に固定しておけば、地震によりマンションが大きく揺れても転倒するリスクを抑えられます。
テレビを低い位置に設置したり、本棚を背の高いものから横に長いタイプに変えたりすると、落下の危険性を排除できるでしょう。
もしも固定部分が壊れて家具が転倒した場合に備え、大きな家具は各お部屋のドアから離れた場所に設置し、出入り口をふさがないよう対策することも重要です。

防災対策(2)備蓄品の充実

防災対策を考えるにあたり欠かせないのが備蓄品の確認です。
まずはライフラインやエレベーターが停止した場合を考え、食料品と水を備えておきましょう。
必要最低ラインは1人あたり3日分ですが、7日分以上あるとライフラインだけでなく物流が復旧するまで持ちこたえられる可能性が高まります。
食料品はインスタント食品や缶詰など長持ちするものを優先的に選び、栄養補助に便利なサプリメントと一緒に備えましょう。
大人2名が1週間分の備蓄を準備する場合、水は2Lのペットボトルが24本、お米は2kgが2袋、カップ麺は6食分が目安です。
乾麺やパックご飯、レトルト食品なども災害発生時には役に立ちます。
また、カセットコンロとボンベやチョコレートなどのお菓子類があると、温かいものが食べられたり甘いものを補給できたりと心の余裕につながるため備蓄としてはおすすめです。

防災対策(3)防災グッズ

食料品や水以外にも防災グッズとして準備しておきたいアイテムはさまざまあります。
電気の供給が停止した場合に備えるなら、大容量のモバイルバッテリーや懐中電灯、乾電池、小型ラジオなどがあると便利でしょう。
衛生面に配慮し、簡易トイレや除菌シート、生理用品のほか、子どもがいるご家庭は子ども用おむつも準備してください。
安全性への備えとして、軍手や折りたたみ可能なヘルメット、養生テープなども準備しましょう。

マンションに設置されている防災設備

マンションに設置されている防災設備

緊急事態が発生した場合に備え、マンションでは火災の発生を知らせる感知器や消火設備、防火シャッターなどの防災設備が整えられています。
また、防災設備に発電機が含まれているマンションなら、電力供給の停止後も共用部分には電気が行き届きます。
ただし居住スペースは電力供給の対象外であるため、お部屋に電気が供給されるのは電力会社による供給停止解除後になることを覚えておきましょう。
マンションによっては水の重要性を考え、災害用井戸を敷地内に設置しているところもあります。
もしも災害が発生して水道から水が出なくなった場合の対策としては効果的で、マンションの住民だけでなく近隣に開放して使用することを想定しているケースも見受けられます。
さらに、マンションの防災設備を知るうえでは緊急事態用エレベーターの存在も外せません。
一定以上の高さを有するマンションは緊急事態用エレベーターの設置が義務化されています。
緊急事態用エレベーターは通常よりも広い設計が特徴で、主に消防活動向けとしての役割が大きい設備です。
さらに、防災設備のなかには地震発生時に近くの階で停止して扉が開き、閉じ込めを防ぐエレベーターなどもあります。
マンションを購入する場合は、防災設備の種類にも注目しましょう。

防災設備の定期点検

マンションの防災設備は消防法にて定期点検が義務付けられており、不具合への修理も求められています。
定期点検は機器点検と総合点検の2種類に分けられ、免許や資格を有する専門家に依頼して点検してもらう必要があります。
定期点検を怠ると、マンションを所有する方および管理する方に最高1億円の罰金や拘留などの罰則が科されるため、どのマンションでも実施されていると考えて良いでしょう。

まとめ

過去の大地震をみるに、マンションは倒壊のリスクがほぼない一方、家具の転倒やライフラインの停止による被害が大きいことがわかります。
防災対策に向けては家具の固定と食料品の十分な備蓄、防災グッズの備えなどが有効です。
発電機や災害用井戸などの設備があるマンションを選ぶことも、防災対策としてはおすすめです。